職域健診に活用可能な歯周病スクリーニングPOCTの開発
CTOオフィス
北條渉
歯周病は、歯を失う原因となるほか、全身の健康にも影響を与えます。歯周病が進行すると、細菌や炎症性物質が全身に影響を及ぼし、心血管疾患、糖尿病、妊娠合併症、認知症などのリスクが高まります。適切な口腔ケアや早期治療により炎症を抑え、血糖値の安定や免疫機能の向上など全身の健康を守ることができます。
しかしながら、歯科健診の受診率は低く、地方公共団体によっては実施されていない場合もあります。実施しない理由として、実施する歯科医師等が不足しているといった歯科専門職の不在や手間がかかるといった時間的負担等が挙げられています。このため、職域等において、簡易に歯周病等の歯科疾患のリスク評価が可能であり、歯科医療機関への受診につなげることができる歯周病等スクリーニングキットの実用化が期待されています。
当社が開発した唾液中のHb測定キットは、測定機器等の付帯設備が不要で、かつどなたでも安全に取り扱うことができます。このアイテムは、厚労省歯科健康診査推進事業を通じて全国の自治体における歯科健診モデルイベント、並びに歯科医師会や教育機関における歯科衛生指導イベントにて試用され、また、スポーツイベント、大手ドラッグストアチェーンにおける健康啓発イベント等にも広くノベルティとして利用されました。のべ10万人以上の地域の皆様に、様々なシーンにてご活用いただきました。これらの啓発推進事業、及びモデル事業で得られた活用事例や有識者によるご意見を元に、職域健診等での利活用に耐えうる体外診断薬キットの開発と設計に鋭意注力しています。
2022 年度厚生労働省歯科健康診査推進事業
柏原市
令和4年
第2回 ロハスパーク大阪柏原
in 大和川河川敷緑地公園
天童市
令和4年度
厚生労働省歯科健康診査推進事業(やまがた健康フェア2022)
島田市
令和4年度
厚生労働省歯科健康診査推進事業(島田市フッ化物塗布事業)
参考文献
1) Yoshiaki Nomura et al, 2018 Mar “Salivary Levels of Hemoglobin for Screening Periodontal Disease: A Systematic Review”. Int J Dent. 2018:2541204.
doi: 10.1155/2018/2541204
1) 花田信弘、唾液検査標準化に関する研究、8020 推進財団 指定研究事業報告書